今さらなのよ!
隆祐はしばらく言葉が出なかった。
かすみは、にっこり笑って、
「隆祐さん、何度呼びかけても無視するんだもん。
せっかく全部思い出せたのに、困っちゃった。
セイナさんが会社の社長さんと親しかったから、ここがわかったんだけど・・・来てくれるよね。
私のことが無視したいなら・・・それでもいいからセイナさんをお祝いしてほしいなぁ。」
「無視したくてしてたわけじゃない・・・って。
俺はさっきから、もう心配で心配で、泣き叫びそうになりながら君をさがしていたんだから。
もう・・・くそぅ・・・セイナのやつ。
平林と相談の上かよ。やられたあ!
あ・・・かすみちゃん、今、全部思い出したって言った?」
「うん。隆祐さんが私に危険が及ばないように姿を消しちゃったのはわかってたけど、あんまり音信不通だから、さびしくて。
マンションにいても実家にもどっても、さびしくてダメ。
前は姿が見えないところにいても、さらわれてもさびしくなかったの。
それは隆祐さんがずっと、私に呼びかけてくれたり、コンタクトとってくれてたから。
それで私、セイナさんに頼んで捜してもらったの。」