今さらなのよ!
隆祐はかすみの通う学校の先生を兄がしているということは知っていたが、まさか担任だったとは思っていなかった。


かすみが通っている四つ葉女子高校で隆一は化学を教えていて、隆一はそのルックスの良さもあってか生徒たちにかなりの人気を得ていた。


「春川ってな、ちょっとかわったコでな・・・。」



「へ・・・ギクッ!(まさか兄貴は宇宙人の研究なんてしているのか?)」



「授業中や勉強についてはしっかりと話してくれるのに、ホームルームとかふだんは僕を避けてばかりでね。

最初はチャラ男だと思われて嫌がられてるのかと思ったんだけど、そうじゃないみたいでさ。
あとで職員室で他の先生にきいてみたら、他の先生とも勉強以外のことはほとんどしゃべらないってさ。

なのに・・・おまえは春川のプライベート部分を知っていて話もしたというよな。
どういうことなんだろうな。」



「ええっ!プライベートっていってもさ、俺はいってみればあのコの職場での客なわけだろ。
おやじさんに気にいられて、ほぼ毎日食堂でメシを食ってれば嫌でも顔を合わせるっていう感じ?

彼女の趣味とかぜんぜん知らないし・・・そうだなぁ・・・うん、兄貴は嫌われてはいない。たぶん。」



「僕のことを話したのか?
何か言ってたか?」



「え~と、兄弟だからさぁ。
兄貴へのグチっていうか悪口めいたことを口走ろうものなら、怒った顔して睨んだ。
あれは、たぶん『先生の悪口は許さないわ!』みたいなプレッシャーだな。」



「へぇ・・・。
趣味はきいてないけど、兄貴の悪口はしゃべってるんだ。おまえは・・・」



「いや、あの・・・ほら、それは兄貴ができる人だからね。
俺みたいながんばってもしがないサラリーマンからみるとさ~~~。」




「くくくっ冗談だ。おまえなりに苦労してたことは僕も知っている。
血のつながらない母に好かれていなくて、つらかったはずなのに、両親が亡くなったときはおまえが僕を支えてくれた。」
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