今さらなのよ!
「もう!何をあまえているんですかっ!
乙女に運べなんて・・・。しょうがないなぁ。」
かすみは父の顔をチラと見て、店内に他の客がいないうちに準備中の札を外に出すと隆祐をひょいと抱えて、自分の部屋まで運んでいった。
「ごめんね、お父さん。この人にはばれちゃってるから困っちゃう。」
「いや、いい人じゃないか。
おまえの事情を知っても逃げたり、どん引きすることもなく、ほぼ毎日きてくれてなぁ。
いっそのこと、うちの婿になってもらおうかと思ってるくらいだ。」
「お父さん・・・もう。私はまだ高校生だってば。
それに隆祐さんは大人だから決まった人いるかもしれないでしょう。
会社でもほんとはけっこう優秀らしいよ。」
「そうだろうな。気さくで元気があって、飯の食い方がほんとにいい。
そういうヤツは大きくなるって。
社長の俺が保証する!てな。」
「あはっははは父さんの保証ねぇ。」
それからかすみは自室に向かい、かすみのベッドで寝ている隆祐の寝顔をのぞきこんだ。
「大人なのにかわいいかも。
なんとな~~く山野辺先生にも似てる・・・兄弟だもん。あたりまえよね。」