今さらなのよ!
(ほ、ほんとに困った兄弟よね。)
(かすみちゃん・・・またまた。今度はツンデレ?
あれ・・・また無視だ。はぁ・・・。)
午後の化学の授業で隆一は手に包帯をしていると、クラスの女の子たちがざわめき始めた。
「静かにーーーー!ちょっとした打撲だから気にしなくていいから。
授業します~。」
かすみは隆一の包帯の箇所を見ていて、不思議な感覚をおぼえた。
(左手・・・なのに右手の方が動きにくいみたいなのはどうして?
あ、そっか・・・先生はほんとは左利きなのを右に修正したんだわ。)
放課後、職員用の靴箱の前で座り込む隆一を見つけたかすみは、ささっと隆一の靴の紐を結んだ。
「春川・・・すまないな。
僕はほんとは、」
「左利きなんでしょう。ふだんなら何でもないことだけど、痛むから右も動きづらいんですよね。」