今さらなのよ!
隆祐は会社に予備のスーツがあることを女将に伝えて代わりを用意してもらわなくていいようにした。
味噌汁を入れ替えてもらい、食べ終わってお代を払おうとしたところで、味噌汁をぶっかけた娘が服を着替えて席までやってきた。
「事情はきいたわ・・・。すいませんでした。
お客様をにらむなんて申し訳ありませんでした。
それと・・・さっきも・・・。」
「あ、気にしなくていいよ。
ちょっとおじさんの言葉が刺激的でついね。
やけどしなかった?
俺の方がひどいことしてしまってすまない・・・。」
「な!なぜ?文句言わないの?
私もう少しであなたに大けがさせてしまうことをしたのに。
味噌汁ぶっかけられても仕方ないと思ったのに。」
「ん?泣きそうな顔されて、もどってきたら俺が客だってだけでこんなに謝ってくれてるだろ。
それに、さっきのは人助けだし、君のおかげで俺は感謝状もらっちまったからな。気にするな。
あ、俺は昨日からそこの山畑商事に勤務することになって、ここの大将に常連客になってほしいと言われたところだ。
山野辺隆祐と言います。今後ともよろしくな。
ところで・・・君は?」
「春川かすみ・・・。2駅先の四つ葉女子高校の2年。
ときどきお店手伝ったりしています。
あの、お店ごひいきにしてください。」