今さらなのよ!
盛名は隆祐があまりに素直でそれでいて冷静で心の底に覚悟ができているかのように思えた。
(やはり・・・この人は王子なのだな。)
「なぁ・・・盛名はかすみちゃんのこと好きなんだよなぁ。」
「えっ!突然、何を言い出すかと思えば・・・。
まさか・・・かすみを頼むとか言うんじゃないだろうな。」
「さすがに予知が得意なだけあって、するどいねぇ。」
「おい、いくらなんでも俺はそういう卑怯な考えは持っちゃいないぞ。
かすみが今、誰のことを思ってるかくらいわかる。」
「かすみちゃんのことが好きかと質問しただけなんだがな。
彼女のことを頼んじゃったら、きっとかすみちゃんに俺が流血の重傷を負わされそうなんだけど・・・。プッ、あははははは。」
「ぐっ、隆祐・・・貴様というやつは!」
盛名は真っ赤な顔をしながら隆祐をにらみつけた。
「あはは・・・すまない。おまえいいヤツだな。
ほんとに戦争中に出会わなくてよかったよ。
頼みたいのはね、夢が実行されるまで、かすみちゃんの相手をしてやってほしいんだ。」