ヒ-ロ-なんていらない
その夜、夢を見た。


泣きじゃくるあたしを抱きしめている小学生のちいさな宝君。


「大丈夫だよ。ずっと守るよ。


 ずっとそばに居るからね。」


でもあたしはその腕をするりと抜けて、


大人の紬君の腕に飛び込む


そして叫ぶ


「うそつき!宝君なんて嘘つきだ!」




--------------はっとして目を覚ますと

 

あたしは泣いていた。


夢の中であたしは、紬君を選ぼうとしていた。


あたしを傷つけたのは紬君だよ。


あたしを守ってくれたのは宝君。


でも、時間は止まってくれないんだよ宝君。


もう、あなたとの事は忘れるべきなのかもしれないね。


連絡をくれないのは、あなたの気持ちなのかもしれない。
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