ヒ-ロ-なんていらない

傷だらけのプリンセス

携帯が鳴る


「はい、あ、すみません連絡もしないで、今病院で。


 や、あたしは大したことないんですが、


 関わった人が意識不明で、申し訳ありません休ませて下さい。」


携帯を切った時、


両手に缶コ-ヒ-を持って宝君が笑って立っていて、


夢じゃなかったんだと呑気にぼんやり思っていた。


「隣座るよと言ってあたしの隣に座った。」


「あの人、助かったよ。赤ちゃんも無事。切迫流産だったよ。


 びっくりしたよ、穂香ちゃんが血だらけで座って助けてって叫んでいて。」


「え、血だらけって?」


あたしの服は転んですりむいた膝や手のひらから出た血で


あちこちが汚れていた。


「顔も凄いよ。洗っておいで。」


ええ~???




気分は地底の反対ぐらいまで沈み込んでいた。



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