ヒ-ロ-なんていらない
「あたしは顔を覆って洗面所に


あたしの顔は涙と血と混ざて薄汚れてて


「なんで、こんな風なの。」


夢にまで見た再会は、なんだか悲惨でボロボロで




「穂香ちゃん大丈夫?出て来てよ。」


「お願いほっといて。今のあたしを見ないで!」


あたしは、化粧室の出口で待つ宝君を突き飛ばして、


病院から飛びだした。


再会の嬉しさよりも


偶然出会ってしまった悲しみの方が大きかった。


何故日本にいるの?


何故連絡してくれなかったの?


何故こんな再会しかできなかったの?


切なくて、悲しくて、やりきれない気持ちでいっぱいだった。
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