ヒ-ロ-なんていらない
秋も深まったの土曜日の午後、


「穂香ちゃんは知っている?宝どっか外国の大学行くらしいよ。」


お兄ちゃんの彼女結姫(ゆうき)さんがポテチをパリパリ食べながら


あたしの天地が引っくり返るような事実を話す。



「えっ?知らないよ?」



「なんでも、伯父さんがそこの大学にいるらしくてね?


 ほら、宝お父さん早くに亡くしてるでしょ。


 お母さん再婚するらしくてね。子どものいない伯父さんの家に


 身を寄せるみたい。だから大学もあっちに行くんだって。」


お兄ちゃんが結姫ちゃんの言葉を追いかけて、


「結姫、あいつが言ってないのに勝手に話すな!!」


と、怒鳴ったけど。


「怖~い!!だって何にも知らないで可愛そうじゃない。


 大体、あんた達は穂香ちゃんを子ども扱いしすぎなのよ。


 女は、あなた達が思うほどピュアじゃないのよ。


 キスしてほしいし抱きしめてほしい。そうよね。」


結姫ちゃんは怯まず、そう言ってお兄ちゃんを睨んだ。


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