ヒ-ロ-なんていらない
父を早くに亡くした俺は、


両親が仲の良かった事から、


唐澤家に近いアパ-トで暮らしていた。


母子家庭で、看護婦をしている母は家に空けることが多く


昼間のほとんどを唐澤家で過した俺は、


健一とは兄弟のようだったし、


生まれたばかりの穂香ちゃんは


健一と二人で取り合いながら可愛がった。


世話好きで優しいおばさんが突然逝ってしまった時、


俺は、二人の支えになると心で誓った。




俺達の関係はあの日まで変わることは無かった。




あの、穂香ちゃんに恋した紬が引き起こした事件の日まで。
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