ヒ-ロ-なんていらない
再会した紬は、俺達が知る紬とはまったく違い、


別人のように大人しい奴になっていた。


紬は、あの事件を起こしたことで、


親からも仲間からも離れ、イギリスで暮らしていた。


紬は紬で、この5年間を後悔を抱きながら生きていたのだと知る。


紬が戻ったことで、


俺達は、もうあの事件の事は本当に過去の事なんだと確認できた。


そして、俺は紬がおれの親戚だったことを健一に告白した。


「初めから知ってたよ。」


そういって笑ってくれた。


「そんなの関係ないぐらい、俺達は宝が好きだから。」


健一の言葉に、視界が歪んだ。



泣くのなんて、4歳の時オヤジが死んだ以来だった。


涙なんてとっくに無くなったと思っていたけど、


ちゃんと出るんだと自分の中で驚いた。

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