ヒ-ロ-なんていらない
宝君はわんわん泣き続けるあたしの手を


引っ張って部屋に上げてくれ


あったかい飲み物を作ってくれた。


「なんか、俺 穂香ちゃんを泣かせた悪い奴みたい。」


「ごめんね。泣き虫で。」


「いいよ、俺の代りに泣いてくれてありがとう。」


優しく笑う宝君は、湯気の向こうで揺れていた。


ホットミルクはお砂糖が入っていてほんのり甘かった。



「甘い」


「ホント?一口頂戴?」


「どうぞ。」


カップを渡そうとする手をそっと抑えられて


「穂香ちゃんに飲ませてほしいな。口移しで。」


「えっ?」////


「駄目?穂香ちゃんから来てくれるんなら誓い破らなくてすむんだけど。」


暫く見つめあった後、


「望むところよ、」


あたしはミルクをグイッ口に含んで宝君の口めがけて顔を近づけて
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