ヒ-ロ-なんていらない
隣に座る紬君の顔を横目で見る。
ストレ-トのサラッとした髪を清潔切りそろえてあり
腕のいい美容院に通っているんだろうなと感じる。
一重の切れ長の目に鼻筋の通った端正な顔が
品の良さを強調していた。
顔のバランスの割におおきめな薄い唇は
笑うと子どもっぽさが残る表情を作る。
チャ-ムポイントだななどと勝手に考えていた。
すると。バチッと視線が合い、
「どうかした?」
と、問いかけられ急に恥ずかしくなってあたふたしていると。
「見惚れちゃった?いいよ、もっとよく見てよ。」
顔が距離5センチまで近づいて、
ぎゃー近い////
さらにあたふたするあたし
くすっと笑って、
「残念、タイムオ-バ-。着いたみたいだ。」
と言ってスッと離れた。