ヒ-ロ-なんていらない

「ちょっと。」


あたしの腕を掴んだのは深沢だった。


「ちょっと、動揺するのは勝手だけど、口外しないでよね。困るから。」


「離してっ何勝手にあたしのて掴んでるのよ。あたしに触っていいのは

 王子だけよ。」


「あ、そうなの?」

あっさり手を離した深沢は、


「春宮って、健一が好きだったんだ?なら、言わないよねさっきの事。」


「言うわけないでしょ。誰に言うのよあんなこと。」


「なら、いいんだよ。

 あ、ひとつだけ教えてあげる。

 あの二人別に恋人とかじゃないよ。ただのセフレだから。」


親友の情事を、表情も変えずに淡々と話すこの男は何者なの?


「セ、セフレ、、。」

あたしの王子像がガラガラと音を立てて崩れる。








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