キスなんてさせない(短編)
あたしは、呼んで見た。

「ヤバイ…陽菜の着物姿初めてみたけどかわいすぎる」

健太は、顔を真っ赤にして口を手で押さえて言った。

そんな恥ずかしい事、よく言えるな。

あたしは、照れた。

「健太、そんな事言ったら照れるじゃん」

「俺達周りから見たらバッカプルかもな」

「そうだね。でどこから行くの?」

「やっぱし最初は、絵馬書こうぜ」

「うん」

あたしは、絵馬を描いた。

何、書こうかな?

やっぱり健太とずっと一緒に居たいし……

でも、健太に見られたら恥ずかしい……

あたしは、素直に書いた。

健太は、何書いてるのかな?

あたしは、チラっと見た。

バカ……何でそんなストレートに……

みんなに見られるのに……

健太の絵馬に書かれたのは、“陽菜とずっと一緒にいれますように”って書いてあった。

あたしの絵馬は、“今の幸せがずっと幸せでありますように”と書いた。

「陽菜は、何て書いたの?」

「内緒」

あたしは、いじわるそうに言った。

「ケチ」

健太は、すねてる。

「じゃあ、健太は?」

もう知ってるけどね。

「俺は、“陽菜とずっと一緒にいれますように”って書いたよ」

「何でそんなストレートに書けるの?」

「だって俺の本当の気持ちだから」

やっぱし健太は、あたしと違って素直でストレート。

あたしは、素直じゃなくてストレートに言えない。

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