キスなんてさせない(短編)
「次は、くじ引きに行く?」

「そうだな」

あたしと健太は、くじを引いた。

あたしは、緊張した。

どうか大吉でありますように……

お願いします。

あたしは、くじを見た。

あたしのくじは、大きく“大吉”と書かれてあった。

ヤッター。大吉だ。

あたしは、自然に笑顔になった。

「健太は?」

「俺も大吉。って陽菜ってそう言うのは、素直に喜ぶよな」

「そうだね。でも、うれしいから」

「じゃあ、最後は神社に行ってお願いしますか?」

「うん」

あたしは、何お願いするか悩んだ。

いろいろお願いしたい事がある。

例えば、“健太とずっと一緒にいれますように”とか“可奈とずっと友達でいれますように”とかどれにしようか迷う。

やっぱりあたしは、“健太とずっと一緒にいれますように”とお願いしよ。

あたしは、5円玉を入れて必死にお願いした。

“健太とずっと一緒にいれますように”と何度もお願いした。

「陽菜、真剣なのもいいけど5円玉だけでいいの?俺なんか1000円札入れたよ。
陽菜、せこいなー」

「健太、もったいないよ。1000円札入れるとか」

「いいんだよ。陽菜とずっと一緒に居れれば」

「健太、もしかしてそれお願いしたの?」

「そうだけど」

あっさり答える健太。

あたしのためにしてくれたんだ。

「健太、ありがとう」

あたしは、素直に言った。
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