千尋くん、千尋くん
「宇治橋ィっ! よくやったぁぁあ!」
3組の担任が、自我も忘れてそう叫ぶ。
それと同時にゴール付近で見ていた、3組の生徒達が集まって、たった今走り終わった千尋くんを囲む。
「宇治橋くん、めっちゃ速かったーぁ!」
「お前、超すげーよッ」
「カッコよすぎーッ!!」
わっしょいわっしょい、お祭り並みに騒ぎながらはしゃぐ3組。
あの状況から、さらにひと1人分の差をつけてゴールしたのは、千尋くんだった。