千尋くん、千尋くん
「そろそろ帰ろうよ、千尋くん」
「もういい、疲れた」
「さっきからそればっかりだよー」
無事閉会式も終えて、高校生活初めての体育大会が終了。
後片付けも済ませて、午後4時には生徒達は帰宅時間を迎えた。
なのに、5時近くになっても帰ろうとしない千尋くん。
今日は部活動もないため、放課後の教室にはあたしたち以外、もう誰ひとり残ってはいない。
3組の教室で、自分の席らしい窓際の机に座って、伏せている千尋くん。
しょうがないのであたしも前の席のイスを借りて、千尋くんが起きるのを待っている。