千尋くん、千尋くん
「あんな本気出したの初めてだわ」
「すごく速かったもんね!」
「てか、なんでオレあんなガチになっちゃったんだ」
「いいじゃん。おかげで1位だよ」
「別に、ビリじゃなきゃいいやって感じだったし」
ハァ、と息を吐いた千尋くんは、伏せていた腕の中からちょっとだけ顔を出す。
そのまま、前にいるあたしを上目遣いで見てきた。
「なんか……あるみに応援されたら、負けれねぇなって思って」
「っ!」