千尋くん、千尋くん
「あれっ? 1人?」
「えっ……ぁ、はい」
抱えた段ボールの後ろから、ひょこりと顔を見せた彼。
明るい茶色のツンツン髪に、あたしと同じく見開かれたクリクリの丸い瞳。
身長はちょうど千尋くんと同じくらいで、雰囲気はクールというより明るそうな印象だ。
見たことがないようで、あるような……やっぱりない。
「キミはオレと同じ1年?」
よいしょっと、近くの読書用テーブルに持っていた段ボールを置いた彼。
あたしに視線を戻すと、首をかしげてそう尋ねた。