千尋くん、千尋くん
「あ、じゃあ……後はあたしやりますから。ありがとうございました」
「いいよいいよ、お礼なんて!」
謙虚に顔の前で手を横に振った彼だが、口元はやっぱりにやけている。
「じゃあ、またねー!」
図書室のドアを開けながら、大きい声でそう言って出ていった彼。
あたしもペコリとお辞儀をして、その後ろ姿を見送った。
そういえば、名前聞いてなかったなーぁ……なんて思いながら、これからどうしようかと悩む。
「あっ!」
しばらくして、あることを思いつく。