千尋くん、千尋くん
「あ、宇治橋ーっ!!」
その時、あたしの後ろの生徒玄関から、陽気な声が聞こえてきた。
誰だ、あたしと千尋くんの感動的な再会(?)を邪魔するのは。
「……一之瀬」
小さな声で、彼を見て呟いた千尋くん。
一之瀬? 一之瀬って……あの一之瀬くん!?
顔は知らないけど、バイトのスケットしちゃったり、体育大会で張り切りすぎて怪我したり。
あの有名(!?)な一之瀬くんが?
慌ててあたしも彼のほうを振り向く。
「いやぁー、お前大丈夫かよ! あれだぞ、風邪の時はネギをなんちゃらかんちゃらって、ばぁちゃんが言ってたぞ!」
「………」
「………」