千尋くん、千尋くん
「なに、お前ら知り合い?」
そんなあたしたちのやりとりを横で見てた千尋くんが、不思議そうな顔をする。
「知り合いっていうか、命を助けてくれたの昨日」
「は?」
「オレのセクハラ疑惑を訴えないでくれたんだ、この子は」
「は?」
ますますハテナな顔をする千尋くん。
ともかく、説明は後でするとして……。
「あ、改めて羽咲あるみです。昨日はどうもありがとうございました」
ペコリと頭を下げる。
「あ、いえいえ。こちらこそ一之瀬と申します。どうぞ、以後お見知りおきを」
そして、こちらもペコリ。
「……なんなんだ、お前ら」
図書室で出会った天然くんは、まさかまさかの一之瀬くんでした。