千尋くん、千尋くん
小悪魔な末っ子
いつもの放課後。
一緒に帰っていたあたしと千尋くんは、学校近くの公園を通りかかる。
「はぁ!? どういうことよ瑞穂ぉ!」
「どういうことって……まぁ、とりあえずお前とはもう終わりだから。じゃっ!」
「うそぉ……」
公園の中から、そんな内容の口論が聞こえて、あたしは何事かと首をひねらせた。
それと同時に、公園の出入口から学ランを着た男の子が出てくる。
ふわふわで、無造作にセットされている黒の長髪。
ここらへんの中学校のである学ランの下には、赤のネルシャツを重ね着していて、少しだらしない印象だ。