千尋くん、千尋くん
「にい、ちゃん……?」
確かに彼はそう言った。
聞き間違いじゃないことを確認してから、隣の千尋くんを見ると。
「あれ、オレの弟」
目の前に立っている彼を指差して、そう言った。
千尋くんの、弟……?
「あれって何だよ! 指差すなっつの」
プンプンとほっぺを膨らませてこっちへ歩いてくる、彼もとい瑞穂くん。
どうやら、あたしがさっき、彼が千尋くんに似てると思ったのは、勘違いじゃなかったらしい。