千尋くん、千尋くん
ガチャリ。
千尋くんが鍵をさしてドアのレバーを引く。
初めて来た千尋くんのおうちは普通の6階建てのマンションで、エレベーターで5階に上がり、一番奥の突き当たり。
そこが千尋くんのおうちらしい。
「たっだいまー」
千尋くんがドアを開けると、そう言って後ろにいた瑞穂くんが中へ入っていく。
「お、おじゃまします……」
「どーぞ」
続いて、千尋くんがドアを押さえてくれてる間に、あたしもペコリとお辞儀をして中へ入った。
玄関に置いてあった爽やかな香りの芳香剤が、鼻をくすぐる。
ここが、千尋くんのおうちかぁ。