千尋くん、千尋くん
「まぁ、ってことで女っ気もなんもねぇ家だからな。リビングは散らかってるし……とりあえず、オレの部屋にでもいるか?」
「えっ、千尋くんの部屋……ですか!?」
「何をそんなにびっくりしてるんだよ」
「だ、だって……」
いや、別に千尋くんも普通にあたしの部屋入ったことあるし。
彼女が彼氏の部屋に入るのは、全然まったく普通のことだし……。
でもっ、でもでもしかし!
千尋くんの部屋なんて……あたしが入っていいのかな。
「もうめんどくさい。いいから来いって」
「わゎっ……!」
眉間に軽くしわを寄せた千尋くんが、悩んでるあたしの腕を引っ張る。