千尋くん、千尋くん
「どうしたの、急に」
「……わかんない」
「ヘンなあるみ」
うん、ヘンでもいい。
バカだと思われてもいいから、ずっと千尋くんのそばにいたい。
ほっぺたに添えられている千尋くんの手に、ゆっくり自分の手を重ねる。
「重い、かもしれないけど、ね……あたし、きっと千尋くんがいなくなったら、生きていけないかもしれない」
なんでそんなことを考えたのかは、わからない。
だけど、本当にそうだと思うんだ。
千尋くんと過ごしたのは、ほんの数ヶ月だけど。
その数ヶ月で、確実に千尋くんはあたしの中の大きな存在になっている。
だけど、そのぶん不安で仕方ない。
いつか……千尋くんと離れなきゃいけないときが、来るかもしれないって。