千尋くん、千尋くん
そう思いながら、目の前にいる千尋くんのお兄さんの顔をまじまじと見つめてみる。
「あの……そんなに見つめられると照れるんだけど……」
「………」
なんか、同じようなこと言う人、千尋くんの友達にもいたな。
「あ、そういえば自己紹介まだだったよな?」
「あっ、はい……」
ゴホンッと咳払いをしてから、一瞬真面目な顔になる千尋くんのお兄さん。
「宇治橋 熾音(シオン)。ご存じのとおり千尋と瑞穂の兄で、一応社会人です。歳はまぁ……四捨五入して20歳かな!」
「なんだよ四捨五入って。普通に23歳って言えばいいだろ」
そんな彼に横からつっこんだのは瑞穂くん。
「瑞穂いいか? 最近の若者、特に女子高生なんかは20代でもおじさんっていうらしいぞ。そんな悲しい事実を受け入れる勇気、オレにはない!」
「胸張って言うことかよ。つーか、その発言自体がすでにおっさんだよ」
「な、なんだと……!?」
なんていうか……堅物そうな人じゃなくて良かった、かな。