千尋くん、千尋くん
「なんか最近兄ちゃんが柔らかくなったと思ったら、原因はこれか」
「あるみちゃんパネェ」
「……古いよ、兄貴」
そんなあたしたちを見た瑞穂くんと熾音さんが、コソコソと話す。
まぁ、会話はまるぎこえなのだが。
「あるみちゃん」
はたまた真面目な顔つきになった熾音さんに呼ばれて、視線を戻す。
じっとこっちを見つめる熾音さんは、やっぱり千尋くんに似てカッコいい。
いや、この場合は千尋くんが熾音さんに似て、カッコいいと言うべき?
って……そうじゃなかった。