千尋くん、千尋くん








人通りや住宅は少ないけど、近くに小さな公園があるため外灯が多い。





こんなに明るくちゃ、泣いてるのなんて丸見えだ。







「……っ、ごめん、ね」





やだ。




何かあるといつも泣いてばっかしで、それさえ我慢できない弱虫な自分が嫌いだ。





特に嫌なことをされたわけでもないのに、勝手にこんな暗い感情を持ってる自分が嫌いだ。






自分でも分かる。





あたしはめんどくさい子なんだって。






それでも今まであたしに付き合ってくれた千尋くんは、やっぱりすごく優しいんだと思う。





泣きたくない、泣きたくない、泣きたくない。







だけど、涙は止まってくれない。




胸のなかの不安は、なくなってくれない。







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