千尋くん、千尋くん
ねぇ、恋って?
その日の放課後は、特に千尋くんと一緒に帰るという予定もなかったので、学校から出て1人呑気に帰り道を歩いていた。
来週には夏休みに入ろうとしてる、まさに真夏。
一応学校から出るときに日焼け止めは塗ったのだが、あまりにも日差しがジリジリと強いため、半袖から出ている腕を見て焼けていないか不安になる。
黒くなるのも嫌だし、焼けたあとのお風呂が一番嫌だ。
湯船に入るときのあの痛さは、できればご遠慮願いたいところである。
そんなことを考えながら、帰りの道中にある公園を横切ろうとした時。
「あっるみー!!」
小悪魔の声が聞こえた気がした。