千尋くん、千尋くん
「言ってみなよ、ちゃんと聞いてあげるからさ」
だけど、こんなあたしにも千尋くんはそう優しく話しかけてくれる。
そして、いつもは冷たいくせに、こういうときだけ優しくしてくれるギャップが、これまたズルい。
分かった……あたし、こんな千尋くんが大好きなんだ。
冷たくされても、バカにされても、時々優しくても。
そんな千尋くんの全部が、大好きで大好きでしょうがない。
だから、だから、だから。
「千尋くん……」
「なに? あるみ」
「大好きで、いてもいい?」
恥ずかしかったけど、顔を上げてそう言ったら、口角を上げた千尋くんがいた。