千尋くん、千尋くん
「とりゃぁあ───っ!」
「う、うりゃぁ───っ!?」
『GOAL!!』
目の前の画面に大きくそう表示されて、隣の瑞穂くんがふざけながらバンザイして喜んでいる。
「いぇーいっ! オレいっち位!」
はしゃぐ姿はまるで無邪気な子供みたい。
……というか。
「何やってるんだ、あたしは……」
「カーレースゲームだけど?」
「い、いや……それは分かってるのですが」
公園で出会った(?)瑞穂くんに連れてこられたのは、映画館やショッピングモール、ゲームセンターなどの複数の施設が完備されている複合アミューズメント施設。
あたしたちが住んでる地域より少し離れた場所にあるので、普段来ることはあまりないのだが……。