千尋くん、千尋くん
「な、なんでここなの……?」
「うーん、ここなら遊びに困んないし。場所的に遠いから、知ってる人あんまりいないかなーって」
確かに敷地内は広く、たくさんの店舗や娯楽施設があるため、1日あっても遊びに困ることはなさそうだし。
言われてみれば、周りにあたしたちと同じ学校の制服を着た学生は少ない。
平日の放課後ということもあるため、知り合いに会うことはなさそうだ。
「言っただろ。今日はオレとデートしよって」
「だ、だから、なんであたしと瑞穂くんがデートなの?」
「いーじゃんいーじゃん! 細かいことは」
「瑞穂くんってば、」
「あ、次あれやろ! 行くぞあるみ」
「あわゎっ……!」
という具合に、さっきから何がしたいのか聞いてもはぐらかされてしまって……。
千尋くんの弟だし、邪険に扱うこともできずにただノリでゲームに付き合ってしまってるわけである。