千尋くん、千尋くん








次に瑞穂くんに引っ張ってこられたのは、目の前の大きなスクリーンに向かって設備してある銃を撃つという射撃ゲーム。




千尋くんとはこういうゲームセンター自体あまり来ないので、あたしにとって初体験である。





「なにこれ、誰を撃てばいいの?」




「ゾンビっぽい奴! 黒い服装で出てきたり隠れたりしてるのはオレらの味方だから」




「えっ、そうなの!? ぎゃーっ! 味方撃っちゃった……っ! ごめんなさい!」




「スクリーンに謝ってどーすんだよ(笑)」






慣れないながらも、隣で笑いながらカバーしてくれた瑞穂くんのおかげで、なんとか楽しむことができる。




千尋くんといるときは、こうやってお互いに騒いだりすることはなかったから、ちょっと新鮮な楽しさだ。





「あるみあるみ! そっち!」




「ど、どこ!? っとりゃ……!」




「ぶーっ! それ味方だってば(笑)!」




「ま、また……!?」







敵と味方を瞬時に判別するのは意外と難しいんだということを、このゲームに学んだ気がする。






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