千尋くん、千尋くん







「確かにドキドキすることは恋愛の中での大事な意味だと思う。だけどね、やっぱりそれだけじゃないんだよ」





女の子は、ただドキドキしたくて好きな人を求めてるんじゃないんだ。




「さっき瑞穂くんと一緒に遊んで、あたしはすごく楽しいと思った。同時に、今度は千尋くんも一緒にこの楽しさを感じてほしいとも思ったな」




「……兄ちゃん?」




「うん。自分が楽しいとね、その楽しさを自分の大好きな人にも教えたくなるの」






それは大好きな人に楽しんでもらいたいから。




楽しんでもらえたら、その人が笑顔になるから。




その人の笑顔が見れたら、自分もすごく幸せを感じられるから。






「でも、千尋くんの笑顔が見られたら自分は幸せ、だなんて結局はあたしの中での自己満足に過ぎないよね」





だって、あたしの幸せが千尋くんの幸せだとは限らないし。






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