千尋くん、千尋くん
「こんなところで、ロマンチックに傷心中?」
「……………」
その、こんなところに連れてきたのは誰だと思っているんだい、この人は。
ようやくシェークを飲み終えた瑞穂くんが、近くのゴミ箱へポーンとプラスチックのコップを投げ入れる。
「しょうがないから、帰ろっか」
「………………」
な、なんか「しょうがないから」とか言われると、あたしがまるで駄々をこねてるみたいじゃないか……。
次々と瑞穂くんの口から出てくる言葉の理不尽さに、あたしはポカーンと口を開けたまま固まった。
「ぷ、ヘンな顔」
千尋くんの弟じゃなかったら、その綺麗な顔にグーパンチいれてやるのに……。