千尋くん、千尋くん
「ちょっとミサ、相手一応年上だし。浮気相手とかじゃないっぽいし……」
「嘘だ! だってこの前も別の女と歩いてたんだよこの男!」
ミサちゃんと同じセーラー服を着てる2人の友達も、まぁまぁと苦笑いで彼女を慰めている。
この様子じゃ、理由を説明して納得させるのは難しそう……。
「あるみ、あるみ」
どうすれば良いのかと1人あわあわしていると、隣から瑞穂くんの小声が聞こえてくる。
目の前のミサちゃんは友達との口論に夢中だ。
「せーの、で。あっちの方にダッシュね」
「……は、え? だ、ダッシュ……?」
「このままじゃ埒明かないし。逃げるよ」
に、逃げるだって……!?