千尋くん、千尋くん
なに……!? えっ……、なんだこれ!
「あっ……瑞穂!?」
あたしたちに気づいたミサちゃんが声を上げるけど……。
そのまま地面を蹴り上げた瑞穂くんは、出口へ向かって猛ダッシュし始めた。
「待ちなさいーッッ!」
気づいたときには、ずっと後ろで叫びながら駆けてくるミサちゃんが見えて……。
あたしを抱えているにもかかわらず、瑞穂くんはものすごいスピードでミサちゃんとの距離を切り離していった。
さ、さすが千尋くんの弟である……。