千尋くん、千尋くん
「あるみはさ、」
「……う、ん」
「優しいから。俺の弟だからって、瑞穂に付き合ってくれたんでしょ」
ブンブンと首を思い切り横に振る。
確かに千尋くんの弟だからってのはあったけれど、あたしは全然優しくなんかないし。
本当にバカだと思う。
「分かってるんだ。瑞穂は昔から人のもの取るのが好きな奴だったし。アイツがあるみに気があるのも」
「………え……?」
全くの初耳で思わず聞き返すけど、しゃべりだしたら嗚咽が出てしまいそうで、とにかく今は千尋くんの話に耳を傾ける。