千尋くん、千尋くん






「俺も俺でさ、うちは昔から親がどっちも仕事で忙しいことも多くて。全然瑞穂にかまけてやる時間もないみたいだったから、寂しい思いさせてるぶん、俺がアイツのためにできることやろうって」





伏せ目がちにそう言う千尋くん。



確かに、千尋くんの両親は仕事の都合で海外にいるって言ってたっけ……。






「だけど、困ったことにさ。アイツが欲しがるものって、なぜかいっつも人のものなんだよね」





「ひ、との……もの?」





「あるみ泣くから、あんまりこの話はしたくないんだけど。例えば……中学のとき付き合ってた女の子だったりとか」







千尋くんの、元カノ……ってこと?




確かに、それはあんまり聞きたくない話題かもしれない……。




だけど、今はちゃんと千尋くんの気持ちが知りたい。





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