千尋くん、千尋くん
目を閉じて寝ているわけでもなく、何かを考えているわけでもなく。
ただただ、ボーッと空を見上げ、風で流れていく雲を活気のない表情で見つめている。
「千尋くんが授業サボってるなんて……」
「珍しいね。なんかいっつもだるそうにはしてるけど、サボってる所は初めて見たな〜」
「う、うん。あたしも」
ヒメちゃんの言葉に頷きながら、不思議に首を傾げた。
何か、悩み事でもあるのだろうか。
それとも、ただだるいだけなのか。
どちらにしろ、一番引っ掛かったのは、感情の見えない千尋くんのその表情だった。