千尋くん、千尋くん
次に違和感を覚えたのは、その数日後あたり。
この前の千尋くんの行動はあまり気にしないようにして、いつもどおりの1日を過ごしていた。
「あるみ、帰ろ」
「あ、千尋くん。ちょっと待って!」
帰りのホームルームが終わり、鞄の中身を整理していると、教室の入り口から千尋くんが顔を覗かせた。
急いでペンケースやノートを鞄に詰めて、待ってくれている彼のもとへ駆け寄る。
「あ、ヒメちゃんバイバイ!」
「明日ね! あるみ」
教室を出る際に、近くにいたヒメちゃんに手を振ってから千尋くんの隣に並んだ。