千尋くん、千尋くん
「千尋くん、もうすぐ中間考査だね」
「……そうだっけ」
「そ、そうだよ! あたし赤点とらないために、頑張って授業中寝ないようにしてるんだから!」
「嘘つき。今日居眠りしてたの、音楽室の窓から見えてたよ」
「えっ、うそ……!」
いつもどおりの平凡な会話をしながら、千尋くんと歩く。
生徒玄関で靴を履き替えて、校門から出て。
「天気いいね」
なんて、いつもどおりの会話して。
やっぱりこの前の千尋くんはなんでもなくて、ただずっとこの笑顔がそばにあればいいなって。
いつもと同じことを思って。