千尋くん、千尋くん
「あるみ」
「……千尋くん?」
「1人で歯磨きできる?」
「な、なに……それ? 普通に毎日自分でしてるよ」
「1人で寝れる?」
「こっ、子供じゃないもん……」
「それもそっか。じゃあ……」
「ち、千尋くん……」
「1人でも平気?」
「千尋くん……」
「1人でも……」
「千尋くんッ!」
「……………」
いきなり意味の分からないことを話続ける千尋に、あたしは大声をあげて立ち止まる。
驚くこともなく、色の見えない無表情で、千尋くんがあたしを振り返った。