千尋くん、千尋くん
やっぱり家に帰って1人になると、ついさっきの千尋くんとの会話を思い出してしまって。
それがすごく不安で、ただただ黙っていることはできなくって。
本当はメールか電話をすればいいのだろうけど。
やっぱり直接顔を見て話をしないと、またはぐらかされてしまう気がしてしまい。
何も考えないまま、突発的に家を飛び出して来てしまったのだ。
「……や、やっぱり帰ろうかな」
ところが、意気地無しのあたしは、いざ千尋くん家のマンションを目の前にして、そんなことを呟いてしまう。
逢いたい。
千尋くんに逢って、ちゃんと話をしたい。
だけど、それと同じくらいに怖いんだ。
今日の千尋くんとの会話を思い出すと、本当のことを聞くのがすごく怖い。
本当は、今すぐにでも逃げ出したい……。