千尋くん、千尋くん
「どうしたの、こんな時間に」
「ご、ごめんなさい……。迷惑だとは思ったんですけど……。最近千尋くんの様子がおかしいから、気になって……」
ペコリとお辞儀をしながらそう言うと、熾音さんは何か知ってるように「あぁ」と呟いた。
千尋くんより少し高い位置にある目を見て、首を傾げる。
「ちょうど、俺もあるみちゃんに話があったんだ」
「あ、あたしに……ですか?」
「うん。できれば千尋と瑞穂がいないとこで話したいから。あるみちゃんが良ければだけど、俺の車の中で話してもいいかな?」
ちらり、と駐車場のほうに視線を向けた熾音さんには、あたしの知っているいつものおちゃらけた雰囲気はなくって。
その真剣な瞳に捕らえられたまま、コクりと頷いた。