千尋くん、千尋くん
今度は緊張しているあたしをいじって、ふざけ始めた熾音さん。
話があるんじゃなかったのか、と内心思いながらも、堅苦しい雰囲気を壊してくれた彼に感謝する。
おかげで、だいぶ楽になった。
「本当、あるみちゃんは可愛いなぁ」
「ロ、ロリコンですか……?」
「む、失礼な。俺にその趣味はないぞ」
唇を尖らせていじけながらも、「本当の妹みたいで可愛いって意味だよ」と付け足してくれた熾音さん。
その言葉が少し嬉しくて、くすぐったかった。